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更年期サポート〜
メノポーズ(更年期)と女性ホルモンについて

更年期のボディケア・スキンケアに必要な女性ホルモンについてのお話です。

更年期、急に来る方も
徐々に来る方も
どうしてそのような症状が起こるのかを理解することでキモチがぐっと楽になります。


エストロゲンについて女性ホルモンとして有名な3つの「エストロゲン

体内で作られる最も作用が強力なエストロゲンは「17-β エストラジオール(estradiol)」。
これと似た生物作用をもつ物質を”総称”して「エストロゲン」と定義されています。

ちなみに

体内に存在する代表的なエストロゲンは

・17-β エストラジオール
・エストロン
・エストリオール(妊娠時、胎児副腎から出る物質をもとに胎盤で作られる)

そして、細かく言うと
ヒト体内に多数存在するエストロゲンの多くは、
”エストラジオールやエストロンが分解される途中で生じた代謝物” です。

「エストロゲン」と一言で言えないほど多岐にわたる物質。
女性の一生で産出されるのはスプーン一杯ほどのわずかな量ですが
一生に渡って影響をもたらします。

エストロゲンについて「エストロゲン」はどこでつくられる?

実は、エストロゲンはコレステロールを原料としてつくられます。

女性はおもに卵巣で「17-β エストラジオール」が作られ、
血液の流れにのって”全身に”作用していきます。

ちなみに、
脳の視床下部〜下垂体からの命令で、エストロゲンの産生が調節されているのは卵巣のみ。

副腎では男性ホルモンが作られますが、その一部がエストロゲンに変換されます。
副腎の働きも、更年期には大切なのですね!
(また、甲状腺からもごく微量に産生されているそうです!)

大切なカラダの機能として、
脳・乳腺・骨・脂肪組織・皮膚など多くの組織で、局所的に産生し、その場で作用できる、
というものもあります。

細胞のエストロゲン受容体が多く発現するのは、皮膚だそうです。植物性女性ホルモンの
経皮吸収の効率の良さのヒミツ、ここにもありそうですね!

ちょっと脱線しますが、いつも悪者になりがちなコレステロールにも…
コレステロールからステロイドホルモンが作られ、男性ホルモン・黄体ホルモン・副腎皮質由来ホルモン(グルココルチコイド、アルドステロン)が作られるという働きがあります。
そして、エストロゲンは他のホルモンの作用を調節する働きがあります。

尚、閉経後に女性ホルモンが全くなくなってしまう訳ではなく、
エストロゲンは、数年は卵巣からの直接分泌がごくわずかにあります。
それに加えて、卵巣や副腎から分泌される男性ホルモンが
皮下の脂肪組織などでエストロゲンに転換されるのです。
人体ってすごいですね!

エストロゲンについて更年期とエストロゲン

エストロゲンの分泌量は40代半ばから大きく減少します。
閉経を迎えると、急激に、一気に、エストロゲン分泌量が減ります。
その大きな変動が更年期症状の誘因となるのです。

更年期の定義は、閉経前後の各5年間。
脳はエストロゲンを出すように指示をしますが、卵巣ではもう出ない…
指令が上手く動かない不具合が出るわけです。

また、
卵巣摘除や抗がん剤によるエストロゲン濃度の急激な低下による更年期症状は比較的激く、
苦労なさっている方も多いです。


◆エストロゲン低下に直接関与してくる一般的な症状

・ホットフラッシュ、発汗
(エストロゲンは血管の拡張や収縮を調節する作用がある)
・不眠
・憂鬱、イライラ、不安感、めまい、疲労感
・頭痛、関節痛、腰痛、肩凝りに関連する症状、しびれ
・全身の倦怠感
・ブレインフォグ
・動悸
・その他不定愁訴

その他として、
・動脈硬化、脳卒中
(血圧の上昇や悪玉LDLコレステロールが上昇する場合がある)
・骨粗鬆症のリスク(閉経後の年数とともにリスクが高まる)
→エストロゲンには破骨細胞の働きを抑制し、骨芽細胞を活性化する働きがあるためです。

・免疫力の低下
・エストロゲン変動による喘息・アトピー

・皮膚の乾燥(紫外線によるしわができやすくなる)
〜エストロゲン低下から数年後すると膣や外陰部の萎縮、細菌が繁殖しやすくなる〜
(膣内の「デーデルライン桿菌」が減って、デーデルライン桿菌が栄養としていたグリコーゲンの
分解~乳酸発生~酸性というメカニズムによるバリヤーがなくなるためです。)

エストロゲンについてメノポーズの症状にはエストロゲンの補充

十人十色の更年期症状ですが、もっとも有効なのはエストロゲンの補充です。

・のぼせ・発汗の高確率の緩和
・抑鬱・不安…40%程度の効果
(抑鬱は脳内セレトニンの減少や感受性の低下も原因のひとつです。)
・肩凝り・腰痛のゆるやかな緩和

・動脈硬化の進行を遅らせる
・骨量の維持
・認知機能の改善

・皮膚老化を抑える
→皮膚にはエストロゲン受容体が存在し、エストロゲンが作用する組織と考えられています。
コラーゲン・ヒアルロン酸による皮膚の厚みや弾力性、若々しい肌つくりに関係しています。

・筋力低下を抑える
・糖代謝を改善
・内臓脂肪の蓄積を防ぐ

(エストロゲンによる免疫系の活性化が度を過ぎると、
かえって不利に働くことが
感染症でもみられるそうです。
過剰な抗ウイルスのための注射薬による過剰な免疫反応にも注意が必要ですね。)

エストロゲン投与の副作用としては
・乳房の張り、痛み
・出血、おりもの増
・エストロゲン製剤のみを数ヶ月以上投与することにより子宮内膜肥厚がおこり、
 子宮体がんのリスクの可能性がある

*ホルモン補充療法(HRT;hormone replacement therapy)と子宮体がんについて
長期間エストロゲン製剤のみを補充すると、子宮内膜が増殖した状態になります。
また、黄体ホルモンの補充には乳がんのリスクが関係してきますので、
エストロゲン製剤の使用について十分な診察を受ける必要があります。
*しかし、比較的若年で閉経を迎えた場合、50歳くらいまではエストロゲンの補充を行うことで動脈硬化や骨粗鬆症をある程度予防可能です。
*皮膚に貼るエストロゲン製剤の場合、経口剤よりエストロゲン濃度の変化が少ないため、
エストロゲンバランス不調による偏頭痛がおこりにくいという説もあります。

○食物からエストロゲンをとる方法について…

◆食物中のエストロゲン
・牛乳・バター・チーズ・ヨーグルトなど乳製品に含まれている動物性エストロゲン
(飲食によりエストロゲンを摂取したとしても腸から吸収されるのはその一部で
エストロゲンの大部分は肝臓で不活化されるという説もあります。)

・大豆製品に含まれる植物性エストロゲン
(植物性エストロゲンは動物性エストロゲンとともに存在すると、
一部動物性エストロゲンの作用を打ち消すように働きます。)

・ざくろ、なつめやし(エストロン)

*イソフラボン、クメスタン、リグナン など

*動物エストロゲンと類似構造;プラシノステロイド(花粉、種、葉)

*レスベラトロール(ぶどうの皮・ぶどう酒・ピーナッツ)

*(ほうれんそう~エクジソン様物質)

*葛根湯、甘草、高麗人参

などなど、サプリや漢方薬に入っている成分もありそうですね。

◆がんの発生を抑える可能性のある食物と植物性エストロゲン

・レスベラトロール(ポリフェノール)(赤ワイン・ピーナッツに含まれる植物性エストロゲン)
~認知症の予防効果も注目されていますね~

・大豆・くず・珈琲に含まれるイソフラボン~「ゲニスティン」は
 乳がん・前立腺がん・大腸がんなどの予防作用があるそうです

・大豆;特に女性の大腸がん、直腸がんのリスク低下に

・緑茶のポリフェノール(カテキン)にも乳がんなどの予防作用
(尿中のエストロゲン排泄の低下作用もあり。)

・アルコール;脂肪組織におけるテストステロンからエストロゲンへの転換を刺激する。
(1週間にグラス3~6杯程度のワイン相当でわずかにエストロゲン値が増えた〜
 という研究があるそうです。)
・ワイン・バーボン・ビールなど発酵による副産物の中にある
 植物由来のエストロゲンが変化したもの

(とはいえ、アルコール自体が人体の内因性のエストロゲンを増加させることにより
 乳がんのリスク因子となる場合がありますので、ほどほどが一番ですね。)

特に大豆中のイソフラボンは更年期に備えたい食べ物です。
大きく分けてダイゼイン、ゲニステイン、グリシテインの3種類に分類されますが、
ダイゼインは小腸下部、大腸に存在するエクオール産生菌と呼ばれる
腸内細菌によってエクオールという物質に変わります。
ダイゼインがエクオールに変わることで植物性エストロゲンとしての作用が増強します。
また、エクオール産生菌があるかないかで、尿中へのエクオールの排泄量に10倍以上の開きがあるそうです。
(人間は20種類以上の腸内細菌がエクオールを産生できるそうです!)

◆植物性エストロゲンは乳がんの発生を抑えるように作用する可能性があります…

…植物性エストロゲンが乳腺での内因性エストロゲン産生を抑えます。
細胞にあるエストロゲン受容体(細胞はエストロゲンをキャッチして血流にのり、各所で作用します。お肌・髪…etc)
「受容体β」が植物性エストロゲンをキャッチすることで、
作用の強力な内因性エストロゲンの細胞での受容を抑えるのです。
植物性エストロゲンは作用が優しく、これからのホルモン治療に効果的と医学界でも言われています。
また、近年では、受容体βはお肌の近くの細胞に多い事が分かってきました。

注;サプリメントなどにより特定の植物エストロゲンのみを毎日過剰・長期にわたって摂取するのは控えた方が無難という説もあります。昔ながらのバランスのとれた食生活をすることですね。

参考;「エストロゲンと女性のヘルスケア」東京大学名誉教授・武谷雄二著

エストロゲンについてaromatherapyでエストロゲンを肌から入れましょう!

エストロゲン様作用のある精油をいくつかピックアップ…

・クラリセージ(緩やかな作用、足りないと補い、ありすぎると抑えるという優しい性質)
・ザクロ種子オイル(キャリアオイルとして。種の中に女性ホルモン様の物質がある)
・フェンネル(作用強め)
・サイプレス(マノオールという成分が女性ホルモンと同じ働きをする)

また、精油の種類によっては、エストロゲン作用とまではいきませんが
ホルモンバランスの調節に有効なものもあります。

○植物性エストロゲンの経皮吸収
理想的な補充方法で、香との相乗効果も期待でき、
ストレスの緩和によるホルモンバランスの安定につながることで複合的ケアが可能です!

〜アロマセラピーを使ったメノポーズケアとしてのトリートメントをご利用くださいませ〜

参考文献:「エストロゲンと女性のヘルスケア」著・東大名誉教授 武谷雄二